秣(まぐさ)の繰り言

もう70歳を過ぎた男の繰り言です。

俺70歳、妻66歳。2回目の大阪旅行? No.3

あぁ~姫路城!すごいなぁ~

さすが大都会の飛行場「大阪国際空港」こと通称「伊丹空港」。何となく華やかな感じがする。

妻の計画では、そのまま姫路駅へ直行するリムジンバスに乗ること。そのバスの伊丹空港発車時刻は9:40。空港に着陸して搭乗ゲートのある所まで動いている途中で確認した時間は9:19。まぁ十分時間が有るとは言えない。初めての場所だし、乗車券売り場とかバス乗り場とか迷うかもしれない。早め早めに行動しよう。

乗車券売り場はすぐ見付かったが、バスの乗り場の場所を尋ねたら「北ターミナル」側の1番乗り場がそこだと言う。俺たちが買った乗車券売り場は「南ターミナル」の端の方、慌てて1番乗り場へ急ぎ足で向かう。

すでに数人並んでいたが、割りと前の方で並べた。しばらくするとバスがやって来たが、その頃には俺たちの後ろに結構な数の人たちが並んでいた。

バスに乗り込んで、ちょっと後方に座る。

バスの窓から見える街並みは、俺たちの町と同じような風景で、大都会「大阪」を期待していたのだが、俺たち側の窓からは大都会「大阪」の建物は見えなかった。

感覚的には、割りとすぐに高速道路へ入ったような気がする。高速道路の脇は高い塀で視界が遮られており、塀が無くなったと思ったら山間いで、やはり周りの風景は見えない。妻と取り留めの無い会話をボソボソと交わし、姫路インターまでの時間を潰した。

インターを降り、しばらく街並みを走っていると、整備された広場みたいな場所が見え遠くに美しい城が見えた。

「あっ、姫路城だ!」と呟く。妻も疾うに気付いていたらしく窓の外をずうっと見ていた。

大阪城の場合、大阪城を中心に広く整備された公園があり、その公園の周りは最先端の美しく格好の良い建物に囲まれている。そして、その対比が面白いと思う。

ただ姫路城のように姫路駅から少し歩けばすぐ気付け、姫路市を象徴して堂々とした佇まいをしている城もまた良いと思う。

バスの終点は姫路駅。姫路城とその周辺を観光するには、姫路城ループバス1日乗車券が便利だそうだ。最初よく分からず、ループバスの姿が見えたのでバスターミナルの方に行ったのが間違い。ループバスの停留所は分かったが、乗車券売り場が分からない。すぐ近くに交番があるだけで、あとはよく分からないビルばっかし。仕方がない姫路駅に向かい観光地図が掲示されてないか見に行くことに。地下道から駅前の歩道に出ると目の前に「観光案内所」の看板。早速、ループバスの乗車券売り場の場所を尋ねると、先ほどの交番の近くを指差し看板があると教えてくれる。また交番に引き返し探してみるがやはり分からない。交番には人影が見えなかったが、念のため大きな声で誰かいないか呼んでみた。すると奥の方から警察官が出てきて乗車券売り場を教えてくれた。よくよく見たらその交番、俺が声かけた出入口は裏側だったかも、ぐるっと廻ったら反対側にちゃんとした出入口があった。でも俺たちだけではないようだ、乗車券売り場が分からないのは。俺たちが乗車券を買って再び停留所に向かうとした時、交番でやはり何か聞いていた人たちがその乗車券売り場に入っていくところを見たから。

無事、姫路城ループバスに乗った。姫路駅から北の方へ真っ直ぐ延びている広い道、大手前通りと言うらしいがバスはその大通りを走る。姫路城に突き当たってT字路となった道を右折する。すぐに1番最初の停留所「姫路城大手門前」がある。ほとんどの観光客はそこで降りる。俺たちも降りて、先ほど曲がったT字路交差点の所まで歩道を歩いて戻る。桜門橋が見え、多くの観光客が渡っている。反対側を見ると、広い大手前通りの両側、左側は公園らしき広場によく分からない建物、右側は土産物屋さんが多くあった。後で土産物屋さんを見て回ろうと思う。

その場所、桜門橋が見え遠くに天守閣、大手門は端の方にかろうじて写る程度と思われる場所で写真を撮ることに。妻を立たせてスマホをかざす。と、後ろから若い男の人が「すいませんが、写真撮ってもらえませんか?」と頼んできた。会社の友人に見せると言う。「いいですよ」と言って相手のスマホを手に取り、桜門橋と天守閣を背景に相手の男性を写す。相手も俺たち2人を写してくれると言う。俺のスマホで写してもらうことに。2人並んで立つと相手の男性が「もう少し右側へ」とか「奥さん、もう少し寄って」とか言ってくる。写真の写しかたにこだわりがあるのかも。俺は全く何も考えずに写真撮ったけど。

桜門橋を渡って大手門をくぐると、姫路城の全容が見える手入れされた大きな広場の前に出る。その広場に沿って天守閣入場券売り場に向かう。広場の脇に多くののぼり旗がはためき、その旗には江戸時代初期からの歴代城主の家名が書かれてあった。池田輝政は有名なので池田氏の名があるのは当然と思っていたが、あの千姫の嫁ぎ先の本多家も城主とは知らなかった。その他にも色々な家名があり、よく分からなかったけど後で調べたら、姫路城主って結構頻繁に代わっていたらしい。

天守閣への入場券を買って、菱の門から城廓内に入る。天守閣への通路はきれいに整備されており歩きやすい。順路でない場所などは、立入り禁止の処置としてカラーコーン、バーなどで区画されている。入場券売り場で姫路城では天守閣と言わず大天守と、本当は7階建てなのだが石垣に囲まれている階を地下1階と称し、そこより上を地上階として6階まであると聞いた。エレベーターはないとのこと。体力温存のため西の丸の方は行かず、ただただ大天守を目指す。勿論そこまでの最低限観光スポットは、ちゃんと見逃さないよう注意して歩く。が、十文字の鬼瓦なんてよく分からなかったし、他の有名な観光スポットももしかしたら見逃していたかも。でも大きくカットされた石を積み重ね、石と石との隙間をゴロタ石で埋め、その上に建っている壮大なる大天守を眺めるだけでも、妻なんか「すごい!すごい!」を連発。俺もつられて「スゲー!」と唸る。

どこをどう歩いたか、ただ道なりに他の人たちが歩く方向に向かって歩いて行く。やっと大天守の出入り口に着く。ここで靴を脱ぎ、貰ったビニール袋に入れてスリッパに履き替える。ちょっと行って、ここが地下1階?すぐに階段があり上階に上る。それにしても、これも聞いてはいたが、ちょっと狭いし急だし、上部の梁が低いところにあり頭をぶつけそうだしで、ゆっくり気を付けて上っていかなければならない。それが全部で7階分。妻曰く「一番上までは無理!」。まぁ上れる所まで上ることに。

1階2階と順路に従って見て回る。1階も2階も中央に広く長い板場の部屋があるが、東西及び南側には敷居、鴨居、下がり壁があるだけで戸が嵌まってないため端から端まで見通せる。大広間とも言えるその部屋の北側は板で仕切られていたので、その向こうは見えないが、展示されていた大天守案内図を見ると、どうやら3部屋に区切られているらしい。その大広間の周りを2間(?)はありそうな板張りの廊下が廻っている。階段の位置だけが違うように見えるが、城好きが見たら1階も2階も見所満載で、違いもいっぱい分かるのだろうなと思う。俺も妻もど素人。よく分からず、そのままざっと巡ってすぐ3階に上がる。

3階に上がってすぐに目につくのは太く高い2本の大きな柱。大広間中央部東西にだいぶ離れて(たぶん3間以上、実際よく分からないけど)建っている。近くにいた誘導係りの人(?)が教えてくれるのには、地下1階から3階までの通し柱だそうだ。スゲー、4階分ぶっ通しのバカ太い柱なのかよと驚いた。他に1、2階と違うところは南側、北側に棚があるところ。ここで妻がリタイア。足の甲が痛くて、これ以上階段を上がると帰りが辛いと。先ほどの係員に言って、妻だけこの階で休ましてもらうことに。座るところがないから、南側の棚の横にある小階段に腰掛けて待っていればいいと。俺だけ最上部6階を目指す。

4階も3階までの階と同じで、板張りの間だが仕切りがないので1つの大きな部屋に見える。もう1つ、四方の外壁には背の高い地袋のような(但し戸は所々あるだけであとは壁になっている)棚があり、そこがちょっと違う。ここもさっと見て5階に上る。5階も4階と同じように広い板の間。4階5階と、たぶん見所はいっぱいあるのだろうが、妻を3階に待たせていることだし、ここもさっと見て6階に上がる。

6階に上がると中央にある小さな神社が目に留まる。あとそれまでの階とはちょっと違う外壁の広めの窓。まず神社、小銭がないので(勿論、大金はもっと無いが)、手だけ合わせてお参りする。それから窓の処へ行き外の風景を眺める。遠くに姫路市の街並みが見える。眼下には櫓、門、回廊が連続として連なり、姫路城の優雅さ雄大さを教えてくれる。しばらく大天守6階からの眺望に酔いしれる。

下りの階段は上りとは別の階段に。順次下の階に下りていき、3階で妻と合流。上る階段部分と、下りの階段部分とではロープ等で区切られており、妻は南側の棚の下を通って、下り階段のところまでやって来た。

順に階段を下りて一番下の出入口の処まで下りていく。そこで小天守も全て廻れると聞いて、妻を残し俺だけ廻ることに。

1階に戻り広い渡り廊下のような所を通る。大天守よりはだいぶ狭い部屋に着いて階段を上り下りし、また渡り廊下を渡って次の部屋へと。たぶん東小天守から乾、西小天守と回って大天守に戻って来ただろうと思う。渡り廊下、小天守の窓から見える櫓や城廓は近くて迫力を感じた。また廊下の壁に武器が何段にも掛けられてあり、それがいかにも戦国時代のお城って感じがして良かった。地下1階で妻と落ち合い外に出る。

戻り道のような表示があり、従って行くと備前丸跡の広場に出る。ここから見る大天守、小天守の1連が、まさしく写真でよく見る姫路城そのもの!ザ・姫路城!多くの観光客もここで写真をパチリ。俺たちも当然スマホでパチリ。

その後も多くの観光客につられて戻り道を歩く。途中に「お菊の井戸」があったのには驚いた。「番町皿屋敷」って、姫路城内にあったの?俺は怪談話嫌いで(怖いし)、よく知らないし!幽霊も嫌いだし!

菱の門を出て、来た時のぼり旗が多くはためいていた広場の向かい、土産物売り場の脇の空き地のベンチで、妻と2人休んでいたら初老の何か係員みたいな人がアンケートを取りにやって来た。

姫路観光の目的、出身地、交通手段、宿泊先の地、概ねの予算などを聞いてきて、答える。姫路市のパンフレットをもらい、ついでに何処か美味しい店はないか尋ねたが、教えてくれた店は居酒屋。昼は食堂だというが夜は居酒屋。頼めば昼でも酒が飲めるというが、昼から飲んでもいられない。別の店を探そう。とにかく、姫路城は堪能した。大阪に戻ろう!と、その前に昼飯だ!