秣(まぐさ)の繰り言

もう70歳を過ぎた男の繰り言です。

「悪左府の女」を読んで、「藤原頼長」ってLGBT だったんだ?へー!

藤原頼長と言えば、「保元の乱」の悪役。そして「保元の乱」と言えば、日本史上「最も重大な事件」の1つ。にも関わらず、ちょっと地味。          多分、事件の主導者が貴族だったからかも。でも、この事件は「源平合戦」の前半の主役「平清盛」と後半の主役「源頼朝源義経」の父「源義朝」が共に初めて重要な役割で出てくる、言ってみれば、大事なプロローグ的な事件。だと思っている。

とは言え、やっぱり地味!陰謀渦巻く宮廷暗黒史的な面白味があるとは言え主役が「頼長」と「信西」では、ちょっと役不足かぁ?

「頼長」は平安朝では、希に見る秀才で、「信西」は権謀術数の権化みたいな坊主だという話だが。

ただ2人が、どんなに策を練り、陰謀を張り巡らしても、所詮は上皇、帝の権威と武士の武力が頼みの権力抗争。

昔、NHK大河ドラマ平清盛」で山本耕史が「頼長」を演じた。そして、「信西」を演じた役者が阿部サダヲ。なんとなく山本耕史の「頼長」は、まぁ分かるが阿部サダヲの「信西」は、これはこれでありかも。それはともかく、この番組NHKなのに、山本耕史さん演じる「頼長」が、「清盛」の弟、家盛と何やらムニャムニャと!いいんかい、NHKだろ?

さて、この「悪左府の女」著者はあの時代小説、歴史小説の大家、伊東潤(すいませんが、敬称無しで)。俺は時代小説、歴史小説が好きだが、伊東潤の小説はあまり読んだことがない。と言うよりもう随分前から、戦国時代とか黒船来航以後の幕末物は、あまり読まない。その時代の小説は何を読んでも、見方次第と言うか、誰を主人公にするかで全く別の物語になってしまう。また、作者の思惑なのか、都合の悪い史実、出来事があると無視するか、都合の良い解釈で誤魔化してしまうようにみえる。と言って史実通りに書けば、物語にならないんだろうなとも思う。そう言った事情で、その時代を扱った小説はあまり読まなくなった。じゃあ何を読んでいるかと言えば、例えば歌舞伎役者、日本の画家、彫刻家、落語家などを主人公にした時代小説とか、人情時代小説、鬼平など。

伊東潤の作品というと、武将が主人公の小説ばかりというイメージ。だが、この小説は「面白い」というレビューを見ていたので、ちょうど図書館に返却されてきた処をグッドタイミングと借りた。

面白かった!何が面白かったと言うと全然知らなかった平安時代の宮廷の行事の様子。へー、こんなにも色々な行事があるんだと感じた。それを丁寧にそして面白く描かれている。さすが、伊東潤

話の内容、流れも読みやすく、最後のオチも、こう来たかと思わず唸ってしまった。ただ、途中は歴史に沿って流れていくし、登場人物の行動も想像出来る範囲だから、ついそのまま何にも思わず読んで行ってしまう。その点が残念。

それにしても、作者の伊東潤が言っていたんだけど「藤原頼長」ってLGBT だから、「藤原頼長」=「悪左府」に女って?という意外性を狙ったとネットにあった。

ふーん、NHKの「平清盛」を見た時にから感じていたけど「藤原頼長」がLGBTねー!「台記」だっけ、現代語の訳があったら読みたいなー。